「愛嬌の槍士」ワイアット_include

主人公「まずいまずい……！仲間になってくれって頼むために紹介してもらったのに、待ち合わせに１０分遅刻だ……！」

主人公「あっ、あれがワイアットか？よ、よし、まずは謝って、それから……、」

街の娘「ワイアットくん！」

主人公「ん？」

ワイアット「あれ、おねーさん、どうしたの？」

街の娘「うふふ、このお菓子、前から食べたがってたでしょ？さっきようやく手に入ったから、ワイアットくんに食べさせてあげたいなって思って！」

ワイアット「えっ、僕のために……？でも、このお菓子すごく人気で買うの大変なんでしょ？せっかく、買えたのにおねーさんは食べないでいいの？」

街の娘「ワイアットくんってば優しい……。」

街の娘「ううん、お姉さんはワイアットくんが食べてるところを見れたらそれでいいの！ね、ほら食べてみて！」

ワイアット「ほんと？おねーさん、ありがとう！おねーさんはすごく優しい人だね！」

街の娘「う、ううん！また欲しいものがあったら言ってね！おねーさん、ワイアットくんのために頑張っちゃうから！」

ワイアット「うーん、欲しいものかあ。えへへ、僕はおねーさんとまた会えたらそれでいいや！」

街の娘「ワ、ワイアットくん……。なんて健気なの……。」

ワイアット「あ、でも、おねーさんも忙しいよね。僕のことは気にしないで。また一緒にお買い物に行こうね！」

街の娘「うん、うん……！じゃ、じゃあ私はもう行くね！」

ワイアット「うん、それじゃあまたね！おねーさん、大好きだよ！」

街の娘「……。（ワイアットくんとの買い物までに、お金ためなきゃ……！）」

主人公「……。」

ワイアット「あ、おにーさん、もしかして癒術士？」

主人公「あ、ああ。えっと、その……、あっ、ま、まずは遅刻してごめんな？」

ワイアット「僕の方こそ、すぐに気づけなくてごめんね？」

主人公「い、いや、それはいいんだけどさ……。さっきの人はいったい……。」

ワイアット「あのおねーさん？優しい人で、僕にいろいろお菓子とかくれたりするんだよ。僕ってかわいいからね。」

主人公「って、確信犯かよ！」

ワイアット「おにーさんはわかってないなあ。」

ワイアット「あのおねーさんはかわいい男の子と触れ合いたい、僕はおいしいお菓子を食べたい。おねーさんも僕も幸せでしょ？」

主人公「そ、そうなのか……？すごい、貢いでそうだったけど……。」

ワイアット「そんなことないよ。僕がお願いするのはおねーさんの手の届く範囲で、おねーさんの生活に支障をきたさない程度のものだもん。」

ワイアット「それ以上のことをお願いしたら、僕もおねーさんも不幸せになっちゃうよ。」

主人公「な、なるほど……？」

ワイアット「癒術士ってすごい人だって聞いてたけど、おにーさんは意外と世慣れしてなさそうだね。なんだかほっとけないや。」

ワイアット「おにーさんの用事は僕に仲間になってほしいってことでしょ？」

主人公「あ、ああ。」

ワイアット「じゃあ僕が仲間になって、いろいろ教えてあげるね。これからよろしく、おにーさん！」

主人公「あ、ありがとう……。（……教えてくれる内容が、女の人の落とし方だったらどうしよう……）」